社内CFOと社外CFOを徹底比較!ベンチャー・スタートアップが社外CFOを活用するメリット・利用法

ベンチャー会計士

多くのベンチャー、スタートアップ、中堅・中小企業にとって重要な業務である資金調達を担うのが、CFO(Chief Financial Officer)です。

CFOは資金調達だけでなく、経理・財務などの管理部門を統括することが多く、また会社の財務責任者として、投資家への決算説明などを担うことが多い重要なポジションです。

 

CFOを雇う場合、社内CFO(フルタイムCFO)と社外CFO(アウトソースCFO)の2種類の雇い方があります。

ここでは、社内CFOと社外CFOの違いや、社外CFO(アウトソースCFO)の上手な利用方法をまとめます。

社内CFOと社外CFOの違い

社内CFO(フルタイムCFO)とは

社内CFOとは、通常、会社の常勤役員または従業員として、フルタイムで働くCFOです。

創業初期には、創業者であるCEOがCFOを兼務することもあり、その後事業ステージが進んでからは、財務に関する経歴を持つ人材をフルタイムの社内CFOとして雇います。

社内CFOは経営陣の一人として、会社の管理部門を統括する役割をフルタイムで担います。

社内CFOのメリット

社内CFOの最大のメリットは、フルタイムであり会社の業務に専念できることです。

このことから、具体的には以下のようなメリットが考えられます。

多くの業務量に対応できる

社内CFOを採用することができれば、その人の時間をこの会社の業務に集中して投入することができるので、多くの業務量に対応することが期待できます。特に、上場準備を開始した後はCFOが検討、決定すべき事項が多岐にわたり、多くの業務量が求められます。そのような場合には、フルタイムの社内CFOの採用が望ましいと言えます。

組織風土・企業文化への貢献

社内CFOはフルタイムであり、社内の他のメンバーと顔を合わせたり、コミュニケーションをとったりする機会も多くなります。また社内CFOは経営陣の一員でもあるので、組織の中でリーダーとしての振る舞いが求められます。

そのため、社内CFOは、組織の考え方や企業文化の醸成に影響を与える存在と言えます。特に組織作りと事業の成長が並行して急速に進む初期のベンチャー・スタートアップでは、この影響は大きいと言えます。

優秀で人望もある社内CFOの採用に成功した場合には、組織風土や企業文化への好影響も期待できます。

ガバナンスの強化

社内CFOは経営陣の一員であり、また管理担当役員となることも多いため、様々な稟議の決裁や業務の承認に関わることになります。社内CFOはフルタイムであるため、会社の他のメンバーの仕事ぶりも見やすい立場にあります。

そのため、社内、特に管理部門における不正の兆候や、重大なミスなどを発見する機会が多いと言えます。そのため、ガバナンスの強化という観点では、フルタイムの社内CFOが望ましいと言えます。

 

社内CFOのデメリット

社内CFOのデメリットは、フルタイムであることが裏目に出てしまう場合です。ベンチャー・スタートアップに特有の問題が生じる場合があります。

社内CFOに頼む業務の量が少ない時期がある

例えば、資金調達が一旦終了し、次の資金調達まで間が空く場合、その間の社内CFOの担う業務が少なく、高給の割には貢献の機会が少なくなってしまうことがあります。

本来は、会社の内部管理体制の整備等、CFOの担うべき業務は山ほどあるのですが、特に事業ステージの初期段階だと、管理体制の充実にリソースを投入する余裕がなく、結果として社内CFOも動くに動けない状況が生じることもあります。

この場合、会社としては固定費だけがかかり、社内CFOとしても貢献度が少なくなってしまうというデメリットがあります。

 

社外CFO(アウトソースCFO)とは

一方で、社外CFOとは、通常フルタイムではなく、他の仕事と兼業したり、会社と業務委託契約を結んだりして、パートタイムで働くCFOのことです。

会社としては、資金調達など財務関連の仕事を、社外CFOにアウトソースすることになります。

社外CFOは、例えば創業者の知人で、財務に詳しく信頼できる人物が担う場合や、会計事務所・財務コンサルティング会社等、外部の信頼できる専門家が担う場合などがあります。

多い場合で週に数日の稼働、少ない場合で月に数日、不定期に稼働するケースなどがあります。

社外CFOのメリット

必要な時に必要な分だけ利用できる

社外CFOは、会社との契約や会社からの依頼に基づいて仕事を行うため、会社が必要とする時期に、必要な分だけ契約して利用する、ということが可能です。

一方で社内CFOの場合は、良くも悪くもフルタイムであるため、必要な時に必要な分だけ働いてもらう、ということはできません。

初期費用(採用コスト)がゼロ

会社が、外部専門家などの社外CFOと業務委託契約を結ぶ場合、通常初期費用はかかりません

一方で、社内CFOを採用するために人材紹介会社などを利用した場合には、数百万円の紹介手数料がかかることがあります。

この点では、社外CFOを利用するメリットがあります。

CFOの人件費を変動費化できる

社外CFOに支払う人件費は変動費化することができます。

つまり、稼働時間に応じて給与や報酬を支払うこととした場合には、業務が少ない時期には少ないコストで済みます。

また、契約期間を柔軟に設定できるので、業務が多忙となる時期だけ契約し、短期間で契約を終了することもできます。

一方で社内CFOの場合には、役員であれば役員の任期、従業員であれば雇用契約の期間(期間の定めが無い場合も多い)の縛りがあるため、社外CFOほど柔軟な期間の設定ができません。

社会保険料の負担がない

社内CFOをフルタイムで雇う場合には、給与のほかに社会保険料の負担が発生することが通常です。

しかし、社外CFOと業務委託契約を結べば、通常、社会保険料負担は生じません

 

社外CFOのデメリット

いずれは社内CFOが必要となる

上場を目指すうえでは、いずれは管理担当役員を採用することが必要になります。

通常、フルタイムの社内CFOがその役割を担うことが多いため、上場準備が進んだ段階では、フルタイムの社内CFOの採用が必要になるでしょう。

また、上場準備が進むとCFOの業務量はどんどん増大するので、フルタイムで対応できる社内CFOがいた方が良い時期が来ます。

そのため社外CFOは、社内CFOを採用するまでの一時的な利用にとどまることが多いと言えます。

事業ステージが進んでから新たに採用した社内CFOは、過去の経緯などを知らないところから業務をスタートするため、会社の事情に詳しくなるために時間がかかることになります。

 

社内CFOと社外CFOの違いまとめ

社内CFOと社外CFOのそれぞれのメリット・デメリットを見てきましたが、違いをまとめると下表のようになります。

社内CFO(フルタイム) 社外CFO(アウトソース)
初期費用 ・数百万円

人材紹介会社を利用した採用の場合、紹介手数料がかかる

・通常、ゼロ
人件費 ・固定費

通常、高年収(+SO)。社会保険料負担あり。

・変動費

業務時間に応じて変動可。業務委託契約なら社会保険料負担なし。

契約期間 ・役員の場合、役員の任期

・従業員の場合、雇用契約の期間(期間の定めなしの場合あり)

・契約に定める

短期から長期まで、柔軟に設定可

会社業務に充てる時間 ・通常、フルタイム週5日 ・契約に定める

週○日、月○日、業務都合に応じて不定期、都度協議、など

業務期間 ・上場後まで継続可 ・上場前にフルタイムの社内CFOと交代

 

社外CFOの上手な利用方法

ベンチャー・スタートアップが社外CFO(アウトソースCFO)を上手に利用するため、特に以下のようなポイントを押さえることがおすすめです。

・利用のタイミング

・社外CFOの選び方

社外CFOを利用するタイミング

社外CFOを利用した方が良いタイミングは、一時的に財務関連の業務が増加するタイミングです。例えば、以下のような場合です。

・VCから資金調達をしたいとき

事業や組織が急拡大し、管理体制の整備が必要なとき

決算業務の繁忙期

監査を受けるとき

事業計画の策定・見直しの時

必要なタイミングでアウトソースすることができるよう、事前に外部専門家や知人等を見つけておくとスムーズに対応できるでしょう。

社外CFOの選び方

社外CFOとしてどのような人を選ぶのが良いでしょうか。

一般的には、以下のような人が候補になることが多いようです。

・創業者の知人ネットワークの中で、財務に詳しい人

外部の専門家(会計事務所、財務コンサルティング会社、等)

まずは知人の伝手などを頼り、信頼できる人物を紹介してもらう方法はおすすめです。事前に候補者の能力や人柄などの情報が得られるためです。

ただし、知人であるが故に遠慮が発生してしまう場合もあり、信頼できる外部専門家に依頼した方が仕事がしやすい場合もあるかもしれません。

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